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更新日:
2024年10月13日
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◎あごのやき、あご野焼き(2024年9月30日)
「あご」とは山陰地方の方言で「トビウオ」のことです。「あごのやき(あご野焼き)」とは、山陰地方の特産品で、トビウオ(あご)を主原料とした水産加工品です。鳥取県西部から島根県の一部地域にかけて作られています。トビウオを使って作られた竹輪で、別名、「あごちくわ」ともいわれます。
トビウオをすり身にし、焼いて保存食にしたのが始まりとされ、出雲地方で古来より生産されていたそうです。飛魚の生すり身に「地伝酒(ぢでんしゅ)」という出雲地方の料理酒を混ぜ合わせて作られます。
「地伝酒」とは、出雲地域で古くから使われてきた料理酒です。もち米をふんだんに使い、米麹は日本酒の2倍、仕込水は約半分の量で仕込み、約3ヶ月かけて完全発酵させます。そこに木炭を加えてから搾ることで酸が中和され、赤みをおびた酒になります。清酒より色が濃く甘味があり、あたかも薄いみりんといった感じの料理酒ですが、みりんと違って純然たる発酵酒です。甘味はみりんの約半分、旨味は日本酒の3~5倍もあるそうです。
この「地伝酒」を飛魚の生すり身に練り合わせて、長さ約40cm、太さ約5~7cmに味付けしたすり身を長い金属の棒に練り付け、くるくると回しながら焼きます。焼くことによって表面がパリっとした食感になりますが、表面が焦げて固くなると身が裂けるため、皮の剥離防止と、火の通りをよくするために、板に針をうちつけた「突き立て棒」と呼ばれる道具で小さい空気抜きの穴をたくさん空けるそうです。
山陰地方では、トビウオ漁は5月から9月に行われており、あご野焼きは夏の味覚として親しまれています。初夏の季節に直火で作るこの料理は屋外で料理することが多く、そこから「野焼き(のやき)」と呼ばれるようになったといわれ、それが転じて「あごのやき」の名が付いたとされています。
見た目は竹輪に似ていますが、酒やみりんなどでしっかりと下味がつけられており、いわゆる竹輪とは別の味わいです。現在は工場生産が一般的ですが、焼きの工程については職人による熟練の技術が必要だそうです。

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