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更新日:
2020年2月29日
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◎三津浜焼き(2020年2月29日)
「三津浜焼き」とは、愛媛県松山市西部に位置する港町、三津浜(みつはま)地域で食べられているお好み焼きのような食べ物です。
大正時代の頃、小麦粉を水で溶いて、焼いて刻みネギなど乗せ、ソースをかけたものを「一銭洋食」として日本各地で売り出されていました。当時はソースをかければなんでも「洋食」と見なしていたようで「1銭洋食」は庶民の味として浸透し、お好み焼きの元となったようです。
戦後の三津では単に「洋食」として、主に主婦やおばあちゃん世代の人たちが、店舗の軒下や本業の店の一画などで作っていたそうです。具は千切りキャベツ、魚粉、卵、天かすなどで、店によって様々だったそうですが、肉を使う場合は牛肉が一般的だったそうです。
関西では小麦粉を溶いた汁と具を混ぜて焼くスタイルになっていきましたが、三津浜や広島では生地を焼いた上に具材を乗せるスタイルです。すなわち三津浜焼きと広島のお好み焼きは似ている料理なのです。三津浜は港町ですし、海を挟んだ対岸は広島ですので、お互いに情報交流があり、同じような料理ができたのかもしれません。
ただし、広島焼き(広島のお好み焼き)と三津浜焼き(三津浜のお好み焼き)には、いくつかの違いがあります。まず、焼き方が異なります。広島では生地の上にキャベツや具材を乗せ、いわゆる素焼きの状態で、それを麺の上に重ねるのが一般的です。三津浜では生地を鉄板で焼き、その上に味付けをした麺(中華そば、うどん)を先に乗せます。このため、三津浜焼きでは、麺を入れたものを「台付き」と呼ぶようになったそうです。(生地の上にソバやうどんの台が付くという意味)
広島では麺に味がついていませんが、三津浜ではしっかりと味がついているという点も異なっています。さらに広島では、焼いた後、丸い形で提供されますが、三津浜焼は二つ折りにして半月型で提供されます。
現在、三津をこよなく愛し、三津を盛り上げたいとおいう志をもった人々が集まって作った「平成船手組」という団体が「三津浜焼き推進プロジェクト」を立ち上げ、「三津浜焼き」の知名度アップと「三津浜焼き」を堪能できる環境を整えようとしているようです。
この「三津浜焼き推進プロジェクト」では「三津浜焼き10ヶ条」を定めています。必ずこうでなければ「三津浜焼き」ではない、というものではないようですが、「三津浜焼き」の特徴をまとめていると思います。その10ヶ条は、下記です。
1. 三津浜で古くから親しまれている「ちくわ」を使っている。(伝統的には紅白のちくわが多い)
2. 味つけをしたうどん、もしくはそばが入っている。
3. 店舗ごとで工夫されたオリジナルソースを使っている。(好みによってマヨネーズを使う)
4. 隠し味として「魚のけずり粉」が入っている。
5. トッピングは、肉や海産物、牛脂など各店で様々に工夫している。
6. 二つ折りの半月型で提供される。(元は狭い鉄板を有効に使うために折ったとされる)
7. ソースは折る前と折った後との二度塗りである。
8. 通はコテを使って鉄板の上で食べる。(コテしかださないお店もあるから気をつけて!)
9. 生地の上に麺がのった三津浜焼きは「台付き」、焼きそば・焼きうどんは「バラ」、生地の上に野菜のみで焼いたものは「素焼き」と呼ぶ。
10. 大正の頃の「一銭洋食」が原点、三津浜の人々にとって古くから「洋食」として親しまれた伝統を受け継いだ物語がある。
これ以外のwebでの情報では、「豚肉ではなく牛肉を使う」、「生地を薄く焼いて、キャベツ、肉、
別で味付けして焼いたそばやうどん、たまごを合わせていく」などの記載があります。また、三津浜焼きでは牛脂をのせることが多いようです。三津浜焼きは両面をしっかりと焼くため、牛脂は溶けていく段階で甘みとコクを出してくれ、美味しくしてくれます。これは高価な牛肉が使えなかった際の苦肉の策だったようですが、今ではスタンダードとして定着しているとのことです。
現在でも、三津浜地区では「三津浜焼き」を出すお店が30軒ほど密集して営業しています。当然ですが、それぞれのお店で少しづつ工夫されているので、色々な味を楽しむことが良いようです。



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