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更新日:
2023年11月12日
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◎りゅうきゅう、りゅうきゅう丼(2023年11月12日)
「りゅうきゅう」とはアジ、サバ、ブリ、カンパチといった新鮮な魚の切身を醤油、酒、ミリン、ショウガ、ゴマなどを合わせたタレに漬け込んだ大分の郷土料理です。刺身を捌いた後の切れ端や余った刺身を使うのが一般的だそうですが、飲食店では「りゅうきゅう」を作るために新鮮な魚を用意することが多いようです。
タレに漬け込むということから、元々は漁師たちが獲れた魚を保存するために作っていた料理だそうです。刺身にして食べた残りを次の時に食べるために保存する方法として考えられたとの説もあるようです。いずれにしても漁師のまかない飯、また保存食として南部の沿岸地域から大分県全域に広まったと考えられているようです。
この「りゅうきゅう」ですが、名前の由来は諸説あり、はっきりしていないそうです。大分の漁師が沖縄の漁師に作り方を聞き、持ち帰ったことからその名がつけられたという説がありますが、別府大学で民俗学を専門とする段上達雄教授によると、沖縄に「りゅうきゅう」に当たる料理はないそうです。また、沖縄から伝わったのであれば鹿児島や宮崎にも「りゅうきゅう」があってもよさそうですが、これらの地域には同様の料理はないそうです。
また、Webで調べていると「ゴマを和える調理法である“利休和え(りきゅうあえ)”から名付けられた」という説明が見つかるのですが、そもそも「利休和え」という料理があるのでしょうか?私は、初めて聞きました。この解説では「利休和え」は「胡麻和え」のことで、千利休が胡麻を使った料理を好んだことから「胡麻和え」を「利休和え」と呼び、さらに「りきゅうあえ」がなまって「りゅうきゅう」になったと言う説のようですが、全く理解できません。「利休和え」なる料理は聞いたことがありませんし、30万9千項目以上(2023年10月現在)を収録した小学館の「デジタル大辞泉」にも掲載されていません。誰かが勝手に「りゅうきゅう」を説明するために「利休和え」なる名称を思いついて、それが今の時代、勝手に広がったとしか思えません。ちなみに「利休」を使った単語は「利休鼠」、「利休箸」、「利休饅頭」など、13語ほどが載っています。料理としては「利休焼き(照り焼きにした魚に煎り胡麻をふった料理。また、みりんや醤油で魚に下味をつけたあと、胡麻をまぶして焼いた料理。)」が載っていますが、「利休和え」などありません。(ちなみに「利休焼き」は、千利休が好んだとされる信楽などの茶器のことも指します。)この説は、最近、勝手に作られたのではないでしょうか。ちなみにデジタル大辞泉に「胡麻和え」は載っていますが、その中に「利休和え」なる単語は存在しません。
また1説では「タレに漬けた刺し身の見た目が海に浮かぶ島々のように見えた」ことから名付けられたといいますが、これも無理がありすぎると思います。海に浮かぶ島々なら、近くの瀬戸内海にたくさん、ありますよね。はるか遠くの島の名前をわざわざ使うのか、意味が分かりません。そもそも交易があったのでしょうか?
大分市内の県庁近くにある郷土料理店「こつこつ庵」では1970年頃にはメニューに載っていたそうです。ちなみに「こつこつ庵」では「琉球」と漢字表記で、関さば、関アジ、カンパチ、タイの4種類から「琉球」が選べるそうです。また、保存食の琉球ではなく、注文を受けてから刺し身にタレをかけて調理しているそうです。タレが濁ったり、脂が浮いたりしない見た目も美味しい琉球を提供しているそうです。
ほかの店でも、「アジはすぐにタレがしみるので漬けにはしない。カンパチなどは味が浸みるまで少しだけ時間をおいている」など、新鮮な魚を美味しく食べる料理として工夫をこらして提供しているようです。このためブリやアジ、サバなど、その時期にとれる旬の魚を使うことから、1年を通して食べることができます。
この「りゅうきゅう」を御飯の上に乗せた料理が「りゅうきゅう丼」です。大分の飲食店ではお酒の後に締めの1品として「りゅうきゅう丼」を提供し、さらに薬味を乗せて、お茶や出汁をかけた「りゅうきゅう茶漬け」とすることもあるようです。
私は、いわゆるチェーン店で初めて食べたのですが、とても美味しかったです。タレも薬味もお店によって違うでしょうから、是非、大分で色々なお店のりゅうきゅうを食べたいですね。

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