鶏肉とカシューナッツの炒め

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更新日:
 2024年8月14日



◎鶏肉とカシューナッツの炒め(2024年8月17日)

 「鶏肉とカシューナッツの炒め」は日本の中華料理店にメニューとして載っていることもあり、中国語で「腰果鶏丁(ヤオグオジーディン)」というそうですから、当然、中国料理だと思っていましたが、何と、アメリカ発祥の料理だそうです。アメリカでは「Cashew Chicken(カシューチキン)」と表記されるのが一般的だそうです。中国語の「腰果」は「カシューナッツ」、「鶏丁」は「鶏の角切り」を意味するそうです。
 もちろん、元になる料理は中国にあり、それは宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)という、鶏肉とピーナッツを唐辛子と炒めた四川料理です。「鶏肉とカシューナッツの炒め」は、この「鶏肉とピーナッツを炒めた料理」を、それほど辛くない味付けに変更し、ピーナッツの代わりにカシューナッツを使った料理と考えられます。
 「鶏肉とピーナッツを炒めた料理」でも「鶏肉とカシューナッツの炒め」でも、鶏肉は角切りにして炒めるのが一般的ですが、アメリカのスプリングフィールド(Springfield)には鶏肉を揚げて作る「鶏肉とカシューナッツの炒め」があるそうです。このスプリングフィールド式は、骨なしの鶏肉をパン粉をつけて揚げ、ブラウングレービーソースで味付けしたものです。この料理は、1940年に中国からアメリカ合衆国へ渡ったデイビッド・リョン(David Leong)というシェフが生み出した料理です。
 デイビッドは1942 年に米軍に入隊しましたが、将校たちは彼の料理の腕前に感銘を受け、料理人として働くよう依頼しました。第二次世界大戦後、デイビッドがフロリダに移ると、同じようなことが起こったそうです。休暇中、ミズーリ州から来た脳神経外科医がデイビッドの料理に感動し、スプリングフィールドに移り住んでこの地域初の中華料理店を開店するようデイビッドに懇願し、デイビッドはそれを請けたそうです。
 しかし、当時、ミズーリ州南部に新参者が住むのは容易なことではなかったそうです。戦争から残るアジア人に対する人種差別が激しく、デイビッドとその家族は部外者とみなされたそうです。1963年に新しいレストラン、レオンズ ティーハウス(Leong’s Tea House)を開店したものの、1 週間も経たないうちに誰かにダイナマイトが投げ込まれ、正面玄関のライオン像も盗まれたそうです。
 しかしデイビッドは、そんなことにもくじけず、数週間後にレストランを再開したそうです。そして、中国の料理では地元の人に受け入れられないと考え、地元の人々の好きな料理を探したそうです。その地域の多くのアメリカンレストランにはフライドチキンがあり、人気だったそうです。そこでデイビッドはオリジナルのチキンを作ろうと考えたそうです。
 デイビッドが生み出した鶏肉とカシューナッツの炒めは地元の人達に受け入れられ、人気になったそうです。すると、他の中国系アメリカ人レストラン経営者も模倣した料理を作り、提供を始めたそうです。デイビッドは、これを邪魔することなく、むしろ奨励した結果、1970 年代にはスプリングフィールド風カシューチキンを提供する中華料理店が何百軒もあったそうです。
 現在では、スプリングフィールドの「名物料理」として有名だそうです。Leong's Tea Houseは1997年に閉店したそうですが、スプリングフィールド式の揚げた腰果鶏丁は中華料理店、非中華料理店を含めて70以上の店で提供されており、スプリングフィールド周辺地域だけでなく、アメリカ合衆国の他地域でも販売されているそうです。