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更新日:
2017年1月3日
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◎ママカリ(2016年4月12日)
岡山県で「ママカリ」と呼ばれている魚があります。正式名称は「サッパ(鯯)」で、ニシン目ニシン科ニシン亜科に分類される魚です。汽水域に生息する魚で全長10~20cm程度、体は木の葉のように左右に平たく、背中よりも腹が下に出ています。体色は、背中側は青緑色、体側から腹側までは銀白色をしています。他のニシン目魚類に比べて鱗が硬く発達していて落ちにくいのが特徴です。コノシロと外見や生息域が似ていますが、体の側面に黒い点線がないこと、背びれの最後の軟条が長く伸びないことなどで区別できます。
東北地方以南から黄海、東シナ海の沿岸域に分布し、内湾や河口の汽水域に群れを作って生息しています。マイワシやニシンのような大規模な回遊は行わず、一生を通して生息域を大きく変えることはありません。プランクトン食性で、プランクトンを水ごと吸いこみ、鰓耙(さいは)でプランクトンを濾しとって食べます。繁殖期は初夏で、直径2mmほどの浮遊卵を産卵します。冬は、やや深場に移ります。
「サッパ」という名前は、淡白でさっぱりしている味に由来するという説が有力だそうです。これ以外にも形が笹の葉に似ているから「ササの葉」から「サッパ」になったという説もあるそうです。岡山を含む瀬戸内海沿岸地方では「ママカリ」と呼ばれていますが、「ママカリ」は「飯借り」と書き、「御飯が進み、家で炊いた分を食べ切ってしまってもまだ足りず、隣の家から飯(ママ)を借りに行くほど美味しい」という話に由来する呼称だそうです。
関西では「ハラカタ」と呼ばれますが、これはは腹部の鱗が硬く発達していることに由来するそうです。広島県や香川県では「ワチ」と呼ばれますが、これは畑に獣が侵入してくるのを防止する囲いを「ワチ」と呼び、定置網で捕獲する「サッパ」の事を「ワチ」と呼ぶようになったからだそうです。
熊本県や佐賀県では「ハダラ」と呼びますが、これは表面に斑(はだら)がある魚だからとの事ですが、実際はコノシロと混同されたようです。他にも三重県では「ススポ」、秋田県では「ゲナミ」、伊勢地方では「カツ」、堺では「ガラザエ」、石川県では「キイワシ」、愛知県では「ギッパ」、千葉県では「サッペラ」など、様々な呼び名があります。
主に瀬戸内海沿岸や有明海沿岸を中心とした西日本で食用にされています。小骨が多いですが、淡白な味で塩焼きや唐揚げ、酢じめ、刺身などで食べられています。中でも酢締めは小骨も気にならず美味なため、惣菜や寿司ネタとして利用されています。また、3枚におろし、皮を剥いだ刺身は身がしまっており、さっぱりとした味です。サッパの酢締めは、かつては「光もの」として江戸前寿司でもネタにされていたそうですが、戦後になって使われなくなったそうです。
現在は、岡山以外ではあまり食べられる事が少ないため、全国の漁獲量の約9割が岡山で消費されているそうです。昔は大量に獲れたのと、イワシと一緒で腐りやすいため酢漬けが一般的になったそうです。ママカリの酢漬けや寿司などのママカリ料理は岡山県の郷土料理となっています。
・ママカリの酢漬け
「ママカリ」の鱗をそいで、頭と内臓を除去します。骨に沿って開いて塩を振って身を締めます。その後、甘酢に漬けたら完成です。これだけでお酒のおつまみにも、御飯の御供にも十分な美味しさです。
塩で締めたり、甘酢に漬ける時間は様々です。10分~15分程度、塩で締めるやり方もあれば、1~2時間、塩で締める場合や、30分だけ甘酢に漬けたり、あるいは一昼夜、漬ける場合もあるそうです。当然ですが、「ママカリ」を獲る時期によって脂の乗り具合も違いますので、調理の方法や時間も作る時期によって変わります。

・ママカリ寿司
「ママカリ寿司」は「ママカリの酢漬け」を酢飯と一緒に握れば出来上がりです。
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