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更新日:
2008年9月23日
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◎日本茶の話
日本にお茶が初めて伝えられたのは8世紀〜9世紀の初め頃だと考えられています。桓武天皇の信任を受け、延暦23年(804年)、38 歳の最澄は、遣唐使と共に入唐、道邃(どうすい)らに学び、翌805年、帰国しました。この時、茶ノ木の種子を持ち帰って比叡山に植えたのが最初と言われています。最澄が持ち込んだのかは不明ですが、遣唐使として唐(現在の中国)に渡った留学僧が、寺院で飲まれていたお茶を日本に伝えたのが最初であることは、間違いないようです。当時のお茶は、蒸した茶の新芽を突き固めて乾燥し、これを粉末状にして飲むタイプだったようです。
『日本後紀』には、弘仁6年(815年)、嵯峨天皇が近江国(現在の滋賀県)に行幸した際、僧の永忠(えいちゅう)から茶を献じられたことが記されており、これが日本最古の茶に関する記述とされています。しかし、その後、日本は国風文化の時代となり、中国からもたらされた喫茶の風習はしだいに廃れていったようです。
お茶が二度目に日本に伝わったのは、鎌倉時代です。臨済宗の開祖、栄西(えいさい/ようさい)が、南宋(当時の中国)で主流となっていたお茶(抹茶)を日本にもたらしたとされています。栄西は、九州、肥前と筑前の境界の背振山(せぶりやま)に茶樹を植えるとともに、京都の栂尾(とがのお)の高山寺の僧、明恵(みょうえ)に茶の種を贈り、茶の栽培方法や飲み方などを教えたようです。
栄西は、鎌倉幕府の第三代将軍、源実朝(みなもとのさねとも)に、茶の効用について著した書物『喫茶養生記』(きっさようじょうき)を献上し、二日酔いの薬として抹茶を献上したようです。実朝は茶の効用に大いに感嘆し、その普及を促し、寺院や武家の間に抹茶が広まっていきました。
一方、明恵は、日本各地に、茶の実を根付かせたそうです。現在、茶の産地として有名な宇治、駿河、伊賀、大和などは、この時、明恵によって茶の実と栽培方法がもたらされた所と言われています。
室町時代になると、抹茶は、庶民のあいだにも普及していき、寺社の門前には、一服一銭の小屋掛けの茶屋が立ち、参詣に来た人を相手に茶売り人が茶を売っていたようです。
江戸時代の初め頃には、新たに明(当時の中国)から、「煎茶」が伝えられたようです。この煎茶を日本に伝えた人物としては、承応3年(1654年)に渡来し、日本に禅宗の一派、黄檗宗(おうばくしゅう)を伝えた中国の僧、隠元(いんげん)が知られています。隠元は、当時の中国の文物を数多く日本に伝えたことで知られており、例えば、隠元豆、西瓜、蓮根、孟宗竹、木魚、もやし、茄子、落花生、胡麻豆腐や印鑑などです。このような中に、中国の釜炒り製煎茶や、それを飲むための道具「茶缶」(現在の急須)も含まれていました。
享保二十年(1735年)、黄檗僧であった月海元昭(げっかいげんしょう、当時61歳)が、京都市の鴨川のほとりに茶店を開いて「通仙亭」と名づけ、煎茶の茶売りを始めました。通仙亭の店先には『茶銭は黄金百鎰(鎰は金の目方の単位)より半文銭までは、くれ次第、ただ呑みも勝手、ただよりはまけ申さず』と掲げ、お茶代は客の自由意志にまかせていました。京都では、不思議な老人が、見慣れぬ煎茶道具で茶を煮て、茶代を求めるでもなく、茶をすすりながら禅を説く、と有名になったようです。
寛保二年(1742年)、月海元昭が68歳の時、「遊外」と改姓の申請をして、許可されています。通仙亭を通して、遊外は多くの文人たちと交流していったようです。宝暦13年(1763年)7月16日、遊外が89歳で大往生した後、上田秋成(うえだあきなり)、頼山陽(らいさんよう)や、田能村竹田(たのむらちくでん)など、江戸時代を代表する文人達を中心に煎茶の文化が広まっていったようです。
現在、日本で最もよく飲まれているお茶は煎茶です。しかし、それ以外にも多くの種類のお茶があります。以下に代表的なお茶を簡単にまとめます。
・かぶせ茶
玉露と似た製法ですが、玉露よりも遮光期間が短いお茶です。
・玉露(ぎょくろ)
新芽が出る3週間くらい前に茶園に「よしず棚」などで覆いをして直射日光を遮り、その中で柔らかな新芽を育て、その茶樹を原料としたお茶です。旨味成分のテアニンが増え、苦みを抑えたお茶になり、コクと甘みのある味わいが特徴です。また、覆香(おおいが)と呼ばれる独特の香りを持っています。
・玄米茶
番茶や煎茶に玄米をブレンドしたお茶です。煎茶の香りと玄米の香りの調和したお茶です。
・番茶
夏や秋摘みの採取時期が遅い煎茶を番茶といいます。もともとは「晩茶(遅い時期に摘んだお茶)」と呼ばれていたようです。夏の強い日差しを浴びている為、葉が大きく硬めで、比較的、渋み成分を多く含んでいて、甘みが少なめで、すっきりした味わいが特徴です。また、茎が多量に混入した番茶を川柳と呼びます。
・煎茶
日本で生産されるお茶の85%を占め、最もよく飲まれているお茶です。太陽の下で育てた新葉を蒸して揉み、乾燥します。爽やかな香りと、程よい渋みが特徴です。
・玉緑茶(たまりょくちゃ)
最後の工程が煎茶と異なり、形を整える工程を省いているため、丸みを帯びた形状に仕上がっているのが特徴です。「ぐり茶」とも呼ばれ、さっぱりした味が特徴。
・碾茶(てん茶)
玉露と同様、新芽の頃に覆いをして日光を遮って育てた若葉を乾燥させたお茶です。茎を取り除いて、茶葉を広げたままの形に製したお茶です。
・深蒸し茶
深蒸し茶は、普通、煎茶より長い蒸し時間で仕上げた煎茶です。一般に香りは弱めですが、濃厚な味わいが特徴です。
・ほうじ茶
番茶や煎茶を強火で焙煎したお茶です。高温(150〜200℃)で煎ることによって香ばしい香りが出ると同時に、渋味や苦みが減り、すっきりとした味になります。葉を主体とした「ほうじ茶」と茎を主体とした「茎ほうじ茶」があります。
・抹茶
玉露と同様、日光を遮って育てた若葉を乾燥させた「碾茶」というお茶から、茎や葉脈を取り除いた後、石臼などでひいて粉状にしたお茶です。主に茶道に使われています。
現在の日本での製茶工程は、だいたい、以下のようです。
・煎茶・玉露・番茶など
茶摘 → 蒸熱 → 冷却 → 祖揉 → 揉捻 → 中揉 → 精揉 → 乾燥 → 荒茶 → 整形 → 火入れ乾燥 → 選別 → 合組 → 仕上茶
・抹茶
茶摘 → 蒸熱 → 冷却 → 乾燥 → 整形 → 選別 → 石臼でひく
・釜炒り茶(玉緑茶)
茶摘 → 殺青 → 揉捻 → 玉解 → 乾燥 → 整形
以下に各工程の意味を示します。
・茶摘(ちゃつみ)
茶葉の収穫のことです。日本国内においては、全国的な茶期区分は、概ね、以下の通りです。
一番茶:3月10日 〜 5月31日
二番茶:6月1日 〜 7月31日
三番茶:8月1日 〜 9月10日
四番茶:9月11日 〜 10月20日
秋冬番茶:10月21日 〜 12月31日
冬春番茶:1月1日 〜 3月9日
・蒸熱(じょうねつ)
摘みたての茶葉に蒸気をあてて、発酵させないようにします。旨味、香りは、この作業で決まります。
・冷却(れいきゃく)
蒸した茶葉を冷やし、表面の水分を取り除きます。
・祖揉(そじゅう)
冷却後、熱風で揉みながら乾燥させます。
・揉捻(じゅうねん)
茶葉を傷めぬように揉みます。
・中揉(ちゅうじゅう)
揉捻した茶葉を熱風で揉みほぐします。
・精揉(せいじゅう)
熱風を当てながら、丁寧によりをかけます。
・乾燥(かんそう)
精揉後、水分量を7%程度にします。
・荒茶(あらちゃ)
乾燥させ、できあがったお茶です。
・整形(せいけい)
荒茶をフルイにかけて精製します。
・火入れ乾燥(ひいれかんそう)
仕上げの乾燥です。
・選別(せんべつ)
煎茶、茎茶、粉茶に分けます。
・合組(ごうぐみ)
茶葉をブレンドします。
・仕上茶(しあげちゃ)
包装し、商品にします。
一昔前は、全ての工程が手作業で行われていましたが、現在は、ほとんどが機械による作業です。

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