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更新日:
2020年12月5日
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◎豆腐(2020年12月5日)
「豆腐」という字は「豆がくさる」と書きます。実際には、腐った豆を使った料理ではありませんが、中国でも「豆腐」と書きますので、中国から作り方が伝わった時、料理名も、そのまま伝わったのだと考えられます。
「腐」の字の冠である「府」には「くら」という意味があり、もともとは「庫」という字を冠にしていたそうです。すなわち「腐」は、「捕った獣の肉を「庫」に入れて保存しておく状態」を表わした漢字で、死後硬直で固くなっていた肉が、時間が経つと食べられるくらいに柔らかくなってくることから、後に肉に限らず、ぶよぶよと柔らかいものを広く指すようになったそうです。つまり「豆腐」とは、「柔らかい豆」という意味なのだそうです。
豆腐の原料は大豆です。大豆は一年一作です。秋期に収穫したものを豆腐メーカーは一年中使用します。豆腐に用いる原料となる大豆は年間約50万トンが使われているそうです。そのうち米国産大豆は約66%(33万トン)、カナダ産が14%(7万トン)で、国産が18%(9万トン)です。現在は、豆腐用大豆の全てが非遺伝子組換え大豆です。原料大豆は全て非遺伝子組換え大豆を分別生産流通管理を施されて豆腐メーカーに搬入されています。
豆腐の製造方法は、基本的に現在でも昔から変わっていません。原料大豆は選別し、夾雑物を除去した後、水洗し、水に浸漬します。浸漬時間は水温、気温によって異なりますが、8~18時間かかります。この浸漬大豆を加水しながら磨砕し、細かく砕いた大豆汁(だいずご)を煮沸します。加熱後、豆乳とオカラとに分離します。
豆乳に凝固剤を入れ、固めると豆腐になります。豆腐用凝固剤は6種類あり、さらに塩凝固と酸凝固があります。塩凝固は海水から精製した塩化マグネシウムや硫酸カルシウムなど、酸凝固にはグルコノデルタラクトンによるグルコン酸凝固があります。カルシウム、マグネシウムは我々、人体に重要なミネラルです。グルコノデルタラクトンは豆乳中で徐々にグルコン酸になって豆乳を凝固させます。このグルコン酸はオリゴ糖と同様に腸内でビフィズス菌を増やす作用のある有機酸で「特定保健用食品に関与する成分」として登録されています。最近、グルコン酸が大腸のエネルギー源である「酪酸」を増やすことが話題になっています。
もめん豆腐は、一旦、豆乳を凝固させ、凝固物を若干崩し、布を敷いた型箱に盛り込み、重しをかけて脱水します。きぬごし豆腐は豆乳全体を固めたものです。
豆腐は「やっこ」とも呼ばれます。これは江戸時代、大名行列の先頭を歩き、槍を振っていた「槍持奴(やりもちやっこ)」の紋から呼ばれるようになったというのが通説です。槍持奴が着ていた半纏に書かれている紋が方形だったことから、豆腐を四角く切ることを「奴に切る」と言うようになり、それがいつしか豆腐そのものを指すようになったと考えられているそうです。
豆腐や豆腐に関連するものには、以下のようなものがあります。
・豆乳
豆乳は、水につけた大豆をすりつぶし、それを水と一緒に煮て、こして作られます。大豆から簡単に作ることができるため、昔は牛乳や母乳の代用としても飲まれていたそうです。初めて商品化されたのは1977年だそうです。最近では様々なフレーバーの豆乳商品が登場しており、健康飲料として日常的に飲まれることも増えてきました。中国や台湾では「トウチアン」として朝食でよく飲まれています。
・木綿豆腐
木綿豆腐は、最も一般的な昔からの豆腐です。製法は、下記の通りです。
①寄せる
豆乳を熱いまま凝固器(寄せ桶)に注入し、凝固剤を入れ、凝固剤が均一に行き渡るように撹拌し、一定時間をおくと豆乳が凝固してきます。ここまでの一連の作業は、豆腐に寄せるということから、「寄せる」と呼ばれています。
②崩し
豆腐状に凝固したものを用具を用いて「くずし」ます。これは、豆腐に取り込まれなかった水分や油分を上澄み(「ゆ」という)として分けやすくすることと、次の工程の型箱にきちんと入れやすくするためです。
③型入れ・圧搾
崩し、上澄みを取った凝固物を柄杓(ひしゃく)などで型箱に盛り込みます。型箱は孔があいたものを用い、箱の中に布を引いておき、凝固物がほぼ一杯になったら布を覆い、蓋をして、上から重しを乗せて圧力を加えます。これにより、箱の穴から「ゆ」が出て、キッチリとした豆腐が形造られ(成型)ます。
④型出し・水晒し・カット
型箱の中で成型された凝固物(豆腐)を、水槽に取り出し、水晒しを行い、一定の大きさに切り分け(カット)し、木綿豆腐が完成です。
その後、通常は、日持ちを良くするため水槽の中で豆腐の芯まで冷却(そのまま、または包装して)し、冷蔵庫に保管、出荷という運びになります。
なお、工程のなかの水晒しは、製品を冷やすと同時に、余分な凝固剤や「アク」などを除くために行うものです。この工程の中で他の豆腐作りと異なる点は、重しで圧搾し、「ゆ」を出すことですが、それによって栄養分が圧縮されます。そのため絹ごし豆腐と比較すると蛋白質、カルシウム、鉄分が、2〜3割多く含まれています。
従来、型箱の中に木綿の布を引いていたため、豆腐の表面にその布目が付いていたことから「木綿豆腐」と呼ばれるようになったそうです。

・絹ごし豆腐
絹ごし豆腐は、木綿豆腐よりも濃い豆乳に凝固剤を加え、そのまま固めて作ったものです。熱い豆乳を、凝固剤を入れた穴のない布を引かない型箱に直に一気に流し込みます。その流し込みの勢いで凝固剤が均等に混ざり、一定の時間、静かに寝かして固めます。その後の型出し、水晒しなどは木綿豆腐と同様です。
圧搾や「ゆ」取りをしないため、ビタミンB群やカリウムが木綿豆腐より多いと言われています。木綿豆腐は水分をしぼるため、ビタミンB群やカリウムなど、水溶性の栄養素が水分と一緒に流れ出してしまうためです。
絹ごし豆腐は、絹の布で漉したように滑らかでキメ細かい肌目をしているため、木綿豆腐に対して「絹ごし豆腐」と呼ばれるようになったようです。実際に絹で漉しているわけではありません。
絹ごし豆腐が生まれたのは江戸時代の中期と考えられているそうです。木綿豆腐よりも柔らかく舌触りが良い豆腐を求めて生み出されたそうです。
絹ごし豆腐を作るために必要な保水力のある凝固剤、澄まし粉(硫酸カルシウム)、その後のグルコノデルタラクトンの出現によって製造しやすくなりました。そのため、戦後になってから、今日のように普及するようになったそうです。

・おぼろ豆腐、寄せ豆腐、木寄せ豆腐、ざる豆腐
おぼろ豆腐は、木綿豆腐の工程中、型箱に入れる前の固まりかけの豆腐を器にそのまま盛った豆腐のことです。ほろほろとした見た目が、「おぼろ月夜のもやもやとした状態」に似ていることから「おぼろ豆腐」と名付けられました。
型枠に入れず、豆腐のかたまりを器に寄せることから「寄せ豆腐」とも呼ばれ、これを笊に盛って水切りしたものは「ざる豆腐」と呼ばれます。ザルから自然と「ゆ」が出て、木綿豆腐とは一味違った食味です。そのまま食べられることが多く、醤油や塩などをかけるだけで美味しくいただけます。
昔は、豆腐屋さんの近隣の人が自ら持参した丼などの容器に盛って渡していましたが、最近はプラス チック容器の普及によって広範に売られるようになっています。
・高野豆腐、凍り豆腐
高野豆腐は、豆腐を凍らせた後、乾燥させて作られます。いったん凍らせることから「凍り豆腐」とも呼ばれています。たんぱく質と植物性脂質を豊富に含み、長期保存が可能なので、東北や信州地方では保存食として親しまれてきました。
和歌山県の高野山で作られたのがもともとの発祥で、その山の名前にちなんで「高野豆腐」と呼ばれるようになりました。関西では精進料理によく用いられ、味が染みやすいので煮物やスープなどに使われます。

・ソフト豆腐
木綿豆腐の工程中、あまり崩しを行わないで、かつ、圧搾を少なくし、「ゆ」をあまり取らないで仕上げた豆腐です。木綿豆腐と絹ごし豆腐の中間の軟らかさと滑らかさをもち、木綿豆腐同様のしっかりとした特徴があります。最近の「軟らかさ」指向に応じて、このような仕上げが増えていますが、木綿豆腐の一種ですので、特に表示をしない場合が一般的です。
・充填豆腐、充填絹ごし豆腐
絹ごし豆腐と同様な滑らかさがあり、充填絹ごし豆腐とも呼ばれています。製法は、豆乳を一旦、冷やし、凝固剤と一緒に1丁づつの容器に注入(充填)、密閉し、加熱して凝固させます。豆乳を冷やすのは、熱いとすぐ凝固し、容器への充填に不便なためです。型箱に入れない、水晒しをしないのも特徴ですが、1丁づつカット(切断)しないので、充填豆腐に対し、他の豆腐を「カット豆腐」と言うこともあるようです。
容器は、ソーセージ状のものを用いたメーカーもありますが、現在は普通の豆腐と同様の角型が一般的です。この豆腐の製法は機械化による流れ作業の大量生産に適しており、戦後、機械化の進展に伴い生まれた豆腐です。また、豆乳充填・容器密閉後、加熱凝固させるので、その間に殺菌が行われるため、日持ちが良いことも特徴です。
・にがり
にがりは凝固剤のひとつです。塩を作るために海水を煮詰め、塩の結晶を取り出した後に残った液体を指します。にがりの主成分は「塩化マグネシウム」で、塩化マグネシウムが豆乳のたんぱく質と反応して固まります。
他の凝固剤と比べ、にがりで食材を固めるには技術が必要だそうです。しかし、にがりが昔から使い続けられる理由は、にがりを使うことで豆の甘みを味わえる豆腐になるという特徴があるそうです。
・豆腐の栄養成分の比較(100gあたり)
|
木綿豆腐 |
絹ごし豆腐 |
ソフト豆腐 |
充填豆腐 |
エネルギー |
72kcal |
56kcal |
59kcal |
59kcal |
水分 |
86.80% |
89.40% |
88.90% |
88.60% |
タンパク質 |
6.6g |
4.9g |
5.1g |
5.0g |
脂質 |
4.2g |
3.0g |
3.3g |
3.1g |
ナトリウム |
59mg |
14mg |
7mg |
10mg |
カリウム |
140mg |
150mg |
150mg |
200mg |
カルシウム |
86mg |
57mg |
91mg |
31mg |
マグネシウム |
130mg |
55mg |
32mg |
68mg |
リン |
110mg |
81mg |
82mg |
83mg |
鉄 |
0.9mg |
0.8mg |
0.7mg |
0.8mg |
亜鉛 |
0.6mg |
0.5mg |
0.5mg |
0.6mg |
銅 |
0.15mg |
0.15mg |
0.16mg |
0.18mg |
マンガン |
0.38mg |
0.31mg |
0.33mg |
0.43mg |
ビタミンK |
13μg |
12μg |
10μg |
11μg |
ビタミンB1 |
0.07mg |
0.10mg |
0.07mg |
0.15mg |
ビタミンB2 |
0.03mg |
0.04mg |
0.03mg |
0.05mg |
ビタミンB6 |
0.05mg |
0.06mg |
0.07mg |
0.09mg |
葉酸 |
12μg |
11μg |
10μg |
23μg |
パントテン酸 |
0.02mg |
0.09mg |
0.10mg |
0.12mg |
|