漬物

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更新日:
 2025年7月13日



◎漬物、つけもの(2025年7月12日)
 「漬物(つけもの)」とは、様々な食材を食塩、酢、酒粕などと一緒に漬け込み、保存性を高めるとともに熟成させ、風味を良くした食品です。漬け込み材料は高い浸透圧を生じたり、pHを下げたり、あるいは空気と遮断する効果を持っており、種類によっては乳酸発酵などの発酵と、それによる保存性や食味の向上が伴います。
 「漬け物」は、自然発生的に出来たと考えられているそうです。野菜や魚などに塩を加え、保存している間に醗酵すれば漬け物になるからです。日本においては、縄文時代には既に野菜の皮を塩漬けにしていたと考えられているそうです。
 中国最古の農業書「斉民要術(せいみんようじゅつ、532年~549年頃に成立)」には、野菜の塩漬け方法などが記載されているそうです。これが世界最古の漬物の製造方法に関する文献とされているそうです。
 日本における最も古い記録は、奈良時代の天平年間(729年~749年)の木簡に記された「ウリの塩漬け」だそうです。したがって、これ以前には、既に漬物が存在していたことがうかがわれます。奈良時代、寺の僧侶の食物はナス、ウリ、モモなどの野菜や果実を塩漬けしたものだという話もあるそうです。
 その後、平安時代に編纂された律令の施行細則である「延喜式(927年(延長5年)に完成)」には酢漬け、醤(ひしお)漬け、かす漬けから、現代のたくあんの原形ともみられる「須々保利(すずぼり)」などの記録が残っているそうです。ワラビ、ナス、ニラ、ウリなどを塩漬けにし、秋にはナス、ショウガ、ダイズ、モモ、カキ、ナシなどを塩、酒粕、もろみ、酒、味噌に漬けていたと書かれており、この時代に、現在の漬物の大半が生まれていたと考えられているそうです。
 さらに平安時代中期、承平年間(931年~938年)に勤子内親王の求めに応じて源順が編纂した辞書である「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」には、「大根の漬物」の記載があるそうです。
 鎌倉時代から室町時代に茶の湯や香道文化が発展すると、漬物が「香の物」と呼ばれるようになったそうです。これは、お香の香りを楽しむ「聞香(もんこう)」の際に、香りの強い漬物を口にして嗅覚をリセットしたことに由来するそうです。
 さらに江戸時代に入ると料亭や飯屋の増加に伴って、漬物業が生まれ、漬け方が載った書物も発行されるようになったそうです。
 現在では、全国各地にご当地漬物が存在し、その数は600種類を超えるとも言われているそうです。漬け汁や漬け床の豊富さ、漬け込む材料の多彩さ、それらの漬け汁や漬け床に応じた漬け方の多様さによって、非常に多くの種類の漬物が生まれたようです。
 漬物を大きく分類すると、1)微生物が直接関与してできる漬物、2)麹や味噌、醤油、酒かす、ぬかなどの発酵生産物を利用した二次的な発酵漬物、3)発酵していない漬物(梅干し、紅しょうが漬け、福神漬けなどの「浅漬」や「調味漬」、醤油や酢などの調味液に短期間漬け込み、食材に味を染み込ませたもの)に分けられるようです。
 漬物の製造方法には大きく2つの加工工程があります。1つ目は、漬物の基本である「塩漬け」です。野菜の塩蔵は通常、15%以上の塩分濃度で塩漬けにし、これによって微生物による腐敗を防ぎ、保存性を高めます。また塩漬けしている間に、野菜に付着している乳酸菌などが増殖して発酵風味が増します。2つ目の工程は塩蔵、下漬けした野菜をさらに醤油や酢漬けなど、他の調味料に漬ける調味漬けや、酒かすに漬けるなどの工程です。塩蔵同様、乾燥も食材を保存する技術です。乾燥させた大根をぬか味噌に漬け込んだ漬物が、沢庵です。
 漬物の製造法は塩蔵と乾燥を基本としながら、そこに調味料や発酵による風味付けを行うことで様々な種類が作られます。また、漬け方にも古漬けなどの長期から、浅漬けなどの短期、漬け込む回数も1回から数回にわたって丹念に漬け込むものなど、様々な種類があります。