博多水たき元祖 水月

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更新日:
 2024年6月1日



◎博多水たき元祖 水月(すいげつ)(2024年5月20日)
 「博多水たき元祖 水月(すいげつ)」は、現在、博多を代表する郷土料理として知られている「水炊き」を発祥の店と謳っています。「水月」の説明によると、「水月」の創業者である林田平三郎氏は長崎で生まれ、明治30年、15歳の頃に料理の勉強のために香港に渡り、英国人の家庭に住み込み、働いたそうです。そこで学んだ西洋料理のコンソメと中国料理の鶏の水煮を日本人の口に合うように工夫してオリジナルの料理を生み出したそうです。そして帰国後、明治38年(1905年)に水炊きの店を博多に開店したそうです。
 「水月」では明治38年の創業以来からずっと、初代から一子相伝で博多水炊きの味と伝統を守っているそうです。まずは、丸鶏をさばいてぶつ切りにして水の中に入れて炊いていきます。水から炊いていくことが重要だそうです。「炊く」というのは短い時間、火を入れることで、「煮る」は長い時間、火を入れることだそうです。鶏肉の場合、煮込みすぎると鶏の旨味が全てスープに出てしまって肉自体が美味しくなくなりますし、スープも澄んだものにはなりません。「水から炊く」ことで「水炊き」と呼ばれるようになったのかもしれません。
 アクをとりながら1時間前後、つきっきりで炊き、もも肉の塊から骨が少し飛び出してくるような感じになったら火を止め、そのまま3〜4時間寝かせておくそうです。そうすると、スープが鶏肉に戻り、肉が柔らかくなるそうです。初代が炊き方を研究して、このやり方に至ったそうです。実際に、繊維がくずれて柔らかくなるという科学的根拠もあるようです。
 大鍋で丁寧に炊き上げたスープは透明感があり、上品であっさりとした印象です。そして、お客さんが来てテーブルに着いてから再度、火をかけ、この時、初めて塩をいれるそうです。「水月」ではコース料理しかなく、仲居さんが解説をしながら調理してくれます。
 鍋に火をかけると、最初にスープを提供されます。他所と違って透明なスープですが、ここに塩とネギを少し、入れて提供してくれます。この塩とネギを入れるのは「水月」のオリジナルなのだそうです。スープはとても美味しく、何杯でも飲めそうでした。
 その後、野菜を入れて火が通ったら、提供してくれます。野菜は白菜を使う店が多いようですが、水月ではキャベツを使うそうです。そして、野菜が入った後、また少し、味が変わったところでスープを提供してくれます。最初よりも、少し味が濃くなっています。
 さらにつみれや野菜などを入れ、これらを食べると、またスープを提供してくれます。スープの味が少しずつ変わっていくのを堪能することができます。鶏だけの最初のスープも美味しいのですが、野菜やつみれから出た出汁が入ったスープも美味しいです。スープに完成形はないのでしょうか。
 スープばかりいただいているようですが、鶏肉もつみれもとても美味しかったです。鶏肉は柔らかくて旨味もしっかりあり、本当に美味しかったです。つみれもとても柔らかく、美味しかったです。
 最後は残ったスープに御飯を入れ、「おじや」を作ってくれます。鍋に塩気がないので塩と薄口醤油で味を調え、溶き卵と小ネギを散らしてすぐ火を落とし、軽く混ぜると半生の「おじや」が完成します。このおじやも美味しく、本当に最初から最後まで、ずっと美味しく、幸せでした。
 仲居さんの話によると、最初のお店は須崎町にあったそうです。現在地に移転したのは昭和30年代だそうですが、柱などは最初の店から持ってきたそうです。かなり年季が入った柱ということです。また、明治時代は鹿児島の地鶏を使っていたそうです。初代、林田平三郎氏は長崎の島原出身で、当時、鹿児島の鶏が美味しいと聞いていたそうです。現在では、福岡でも美味しい地鶏があるので、地元の食材を使用しているそうです。ちなみに鶏は九州で育てられた5〜6ヶ月の雄鶏と決めているそうです。成長し過ぎると肉がかたくなるし、若鶏だとコクが足りないので、そのくらいが最適なのだそうです。また、雌鶏は脂が多いので使わないそうです。
 水炊きを食べる時に提供される「ポン酢」は自家製だそうです。ポン酢に使う柑橘は、福岡の糸島半島で海風にさらされたダイダイだそうです。ダイダイは毎年、年末に仕入れて正月明けに1つずつ手絞りするそうですが、男性だと力が強くて苦味や渋味が出てしまうので、女性だけが絞るそうです。しかも1回だけだそうです。このダイダイの絞り汁を1年寝かせることによって甘味を引き出した後、醤油を合わせてポン酢を作っているそうです。醤油は薄口と濃口、季節によって味の調整をしているそうです。このダイダイのしぼり汁は、一升瓶に入れて座敷の下に保存しているそうです。
 味の決め手に橙のぽん酢を使う事、メインの野菜にキャベツを使う事、初めにスープを飲ませる事、鍋のスープに塩と小ネギを入れて飲む事など、いずれも水月のオリジナルだそうです。これらが全て、初代、林田平三郎氏の発明で、現在まで連綿と伝わっている味だそうです。
 仲居さんによると、ほぼ全員が80代だそうです。これは、先日、90代の仲居さんが引退されたからだそうです。仲居さんを見回すと、1人だけ、若い方がいました。仲居さんによると、ただ1人の20代で、まだ大学生でアルバイトだそうです。彼女が友人を連れてきて、仲居さんが増えたら良いなと思いました。博多に行ったら、是非、行きたいお店の1つですね。



















・元祖博多水たき













































・チキングラタン



・肝の甘露煮





・博多水たき元祖 水月(すいげつ)
 住所:福岡県福岡市中央区平尾3-16-14
 TEL:092-531-0031
 営業時間:17:00〜22:00
 定休日:月曜日
 駐車場:有
 アクセス:西鉄、大牟田線、平尾駅より徒歩約12分
 カード:可(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)
 席数:85席
 オープン日:1905年(明治38年)